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滝藤賢一、映画で勝ち方の美学を見習う

滝藤賢一の映画独り語り座 Vol.34

勝つことへの執念と勝ち方の美学。
見習いたい!

『女神の見えざる手』

(C)2016 EUROPACORP - FRANCE 2 CINEMA

  • 『女神の見えざる手』
    2016年/フランス・アメリカ合作
    監督:ジョン・マッデン
    出演:ジェシカ・チャステインほか
    配給:キノフィルムズ
    TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中

政府を陰で動かす"戦略の天才"ロビイスト。「圧力団体の意見を政治に反映させるため、政党・議員・マスコミ、さらには世論などに働きかける人々」のことだそうです。なるほど、なるほど。

今回ご紹介する『女神の見えざる手』、めちゃくちゃ面白いんです。ヒロインはこのロビイストであるエリザベス・スローン。とてつもなく冷酷で目的のためなら手段を選ばない完璧主義者。一見、あまりの鉄人ぶりに自分とはかけ離れた存在に思えますけど、私生活での不完全さが絶妙に描かれていて「ああ、敏腕ロビイストも、同じ人間なんだなぁ」と感じさせてくれるところも魅力的。

物語は、彼女が銃擁護派団体から銃規制法案を潰すプロジェクトの依頼を受けるところから始まります。圧力団体は、「女性が銃を持つ必要性を認識させたい」と。しかし彼女は自分の信条に合わないと、この依頼を断固拒否。そこから実にえぐい工作のかけ合いが開始。ノンストップで一気に畳みかけてきます。

台本2冊分はあるのではないかと思わせるセリフ量。場面展開の早さ、膨大な情報量。正直、始まった途端、ついていけないかもと心折れそうになりましたが、ジェシカ・チャステインの魅力がスクリーンから心を離れさせない。以前、本連載でご紹介した『アメリカン・ドリーマー』では、したたかなマフィアの娘を、『ゼロ・ダーク・サーティ』ではビン・ラーディンを追い詰めるCIAのエージェント、『オデッセイ』では部下思いのチームリーダーと、彼女はどれも素晴らしかったですよね。

気づけばスクリーンにかじりつき、完璧にエリザベス・スローンに欺(あざむ)かれ、ラストはもんどりうって倒れるほどの衝撃が次々と襲いかかってきます。アメリカドラマ『ハウス・オブ・カード』を彷彿とさせる、私にとっては堪らないテイストの作品でございました。

しかし、ロビイストって仕事はカッコいい。仲間にも作戦を打ち明けず、淡々と戦略を重ね孤独なスパイのよう。私も生まれ変わったらぜひロビイストになりたいと思います。

  • Kenichi Takitoh
    1976年愛知県生まれ。金曜ナイトドラマ『重要参考人探偵』、10月29日放送『BORDER 贖罪』(ともにテレビ朝日系)に出演。

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Composition=金原由佳