<

ゲーテ ミュージック&ブック

  • Check
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
今月のベストセラー

今月のベストセラー

『終の住処』
30歳を過ぎて結婚した男女。一見平和な夫婦間の、埋めがたい隔たりが日に日に増していき、妻はある時から11年間、夫と口を利かなくなった。彼らは仮面夫婦か。それとも……? 第141回芥川賞受賞作。
『終の住処』

『終の住処』

磯崎憲一郎著 新潮社 ¥1260
磯崎憲一郎著 新潮社 ¥1260
 ひと言で言えば、憂鬱な物語だ。なぜか。それは、どうしようもなくこの物語がリアルだからである。30歳を過ぎた男女が、たいして盛り上がりもしなかった恋愛期間を経て結婚し、お互いに他人のまま長い時を過ごし、いつしかその諦観とささやかな希望を共有して生きることを選んだ。むろん、いろいろな出来事が起こる。幸せを感じる瞬間がないこともない。しかし、そうしたあれこれが過去となった時、すべては遠く、意味のあることだったのかさえわからなくなるのだ。それでも人は人と関わって生きる。これをリアルと言わずして何と言うのだろうか。

中沢明子=文 茂呂幸正=写真

*本記事の内容は09年9月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい
ラインナップ