ゲーテ ヒューマン

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「100%電気革命」を連れてきた男 イーロン・マスク

「100%電気革命」を連れてきた男 イーロン・マスク

21世紀のビル・ゲイツか? または地球環境を救うニューヒーローか? IT革命児のイーロン・マスクが創る電気自動車は、セクシーで高級な車体に新技術を満載してビジネスを着々と構築する。車業界全体の、そして全世界マスコミの話題をさらう起業家イーロンのいまだ知られざる素顔に迫る! イーロン・マスク氏/蟹瀬誠一氏
イーロン・マスク

1971年南アフリカ共和国生まれ。起業家。テスラモーターズ会長兼CEO。製品設計責任者としてデザインにも携わる。テスラ以外の責務としては、SpaceX社でCEO兼最高技術責任者、太陽光発電のSolarCityでは会長を務める。自他ともに認めるワーカホリック。趣味は子供と遊ぶことと映画鑑賞。

蟹瀬誠一

1950年石川県生まれ。国際ジャーナリスト。米AP通信社記者、仏AFP通信社記者、米『TIME』誌特派員を経て『報道特集』(TBS)、『スーパーモーニング』(TV朝日)のキャスターに。現在も各局番組で活躍中。2004年からは明治大学文学部教授として教鞭をとり、2008年から同校国際日本学部長に就任。EV自動車業界にも精通する。

天才起業家イーロンの軌跡[聞き手・蟹瀬誠一]

天才起業家イーロンの軌跡[聞き手・蟹瀬誠一]

 想像していたよりずっと柔らかな手だった。長年の取材経験から、最初に握手をした時に私はその人物の性格がわかる。そっと手を差し伸べ、申しわけなさそうに握る控え目な人。こちらの眼を見つめてギュッと握ってくる挑戦者型。必ず両手の営業上手。いきなり力を込めて上下にこれでもかと振る自信家。米国で注目の若手起業家イーロン・マスク氏(39)は明らかに最後のタイプだろうと思っていたら、私の予想はみごとに裏切られた。180cmを超える長身、がっちりとした体形。だが握手はソフトで、話しぶりもいたって穏やかだったのである。
 「両親の都合で引っ越しが多く、子供の頃はひとりで本ばかり読んでいました」と、自身の内向的だった幼少期を振り返る。科学小説やエジソンなどの伝記が大好きだったという。コンピューターにも人一倍興味があった。10歳でプログラミングを独学でマスターし、12歳の時にはすでに対戦ゲームソフトを製作し数百ドルで売ったという。「ただのギーク(コンピューターおたく)でした」と、はにかみながら笑みを浮かべたが、この頃からすでに遊びが仕事であり、仕事は遊びの感覚を身につけていたのかもしれない。集団に帰属しない個人の可能性。それが後に凡人の想像を超えた世界へと彼が突き進む原動力となる。

 まずは、彼の生い立ちを振り返っておこう。1971年6月28日、イーロン・マスクは南アフリカ共和国の首都プレトリアで生まれている。父は地元のエンジニア、母はカナダ人栄養学者で、その美貌からニューヨークでモデルもしていたという才女だ。彼の優しさはその母親ゆずりである。
 「母からは常に他人に親切であるようにと教えられました。とても愛に溢れた人です」
 そう話すイーロンの瞳は一瞬子供の頃に戻った。一方、職人肌の父親は彼にとって教師のような存在だったという。
 「父はエンジニアだったので、子供の頃から疑問が起きると、すぐ父に何でも聞きました。これはどうなってるの? どういう構造?といった具合です。ロケットなんかについてもいろいろと教えてもらいました」
 ただ、コンピューターに関しては意見が合わなかったという。
 「父は数学に秀でた絵を描くのも上手い面白い人ですが、コンピューターが将来、人間社会を変えるようになるという私の考えを信じなかったんです! もちろん、今は考えも変わったようですけど(笑)」

 意見の相違はそれだけではなかった。ティーンエージャーとなったイーロンは新天地を求めてアメリカへ行きたいと願ったが、父は反対した。背景には徴兵制度があったことは想像に難くない。当時アパルトヘイトと呼ばれる黒人隔離政策が取られていた南アフリカでは、白人男性は18歳になると兵役が義務づけられていた。母から深い人類愛を教えられたイーロンが、黒人を抑圧する軍隊に入隊することに矛盾を感じないはずはなかった。もちろん父や、そして自分が生まれた祖国に対する愛国心を失った訳ではない。弱冠17歳の青年にとって、それはとても厳しい決断の時だったのである。
 「でも、それだけじゃないんです。海外へ行き、しっかりと自分の人生を構築していきたいと考えるようになったのです」

イーロン・マスク氏

テスラ、最新の高級EVスポーツカー「ロードスタースポーツ2.5」と。1回の充電で394km走行、100km/hまでの加速が3.7秒と、街中ユースのイメージだったEV車の概念を一気に変えた。

テスラEV車の特徴は、パソコンにも使う汎用の円筒形リチウムイオン電池を数千本組み合わせたバッテリーだ。大手メーカーが専用電池の高い開発費に悩むなか、低コストの汎用電池を活用する独自技術は量産化の可能性を高めた。

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バッテリーは日本、カーボンファイバーはフランスで特注、イギリスでシャーシを仕上げ、組み立てはカリフォルニア、と車づくりもシリコンバレー方式! 既存のやり方にはこだわらない。

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