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「24時間仕事バカ!」の熱狂人生|【前編】|三木谷浩史|楽天株式会社代表取締役会長兼社長|世界進出は勝つまでやり続ける

「24時間仕事バカ!」の熱狂人生|【前編】|三木谷浩史|楽天株式会社代表取締役会長兼社長|世界進出は勝つまでやり続ける

三木谷浩史
一日の仕事の始めに、各部署から上がってくる日報をチェックする。部外者の目には字の羅列に過ぎないが三木谷にとっては日報が会社の状態を知るための目であり耳。行動目標は具体的な数字に置き換えられる。毎日同じ書式を見ているので、問題のある部分は、浮き上がって見える。
三木谷浩史「格言集1」
三木谷浩史「格言集1」
小さな成功で
自信を築け。

人生一生勉強。すべて勉強。

Get things done.
世の中にはふたつのタイプの人間しかいない。
できる方策を探す人と、
できない言い訳を考える人。

人生は
生から考えるか、
死から逆引きで
考えるかによって、
大きく変わる。
ビジネスモデルはIT企業らしからぬ「絆」

ビジネスモデルはIT企業らしからぬ「絆」

 三木谷浩史という人を、上手く説明するのは難しい。彼自身はよく「僕はハイブリッドだから」と言う。大学教授だった父の祖先は家康の時代まで遡る武家の名門、帰国子女の母の祖先は江戸期の豪商の家柄。学問とビジネス、武士と商人のハイブリッドというわけだ。
 言葉に違わず、彼の中には相反する性格が混在している。一橋大学卒、日本興業銀行入行、ハーバードMBAという経歴から浮かぶのは、万事にそつのないエリート・ビジネスマンの姿だ。興銀時代は国家間にまたがるM&Aを任されていた。何億円、何十億円の単位のビジネスだ。その彼が、起業当初は月額5万円だった楽天市場への出店契約を取るために、全国を走り回っていた。興銀時代を知る人の中には、三木谷を嘲笑した人もいたらしい。だが彼は気にもしなかった。数人の社員と一緒になって、毎月5万円の契約取りに寝食を忘れて没頭した。
 基本は飛び込み営業だ。ほぼ門前払いを食う。そこで三木谷は走ったり、腕立て伏せをしてから営業先に飛び込む裏技を編み出す。息を切らせ汗をかく営業マンを、簡単に門前払いできる人は少ないと考えたのだ。
 はっきり言って、泥臭い。けれどその泥臭さを微塵も恥じないのが三木谷の強さであり、それが並のエリートとは根本的に異質な部分だ。そして、この三木谷の性質は、そのまま真っ直ぐに楽天市場のビジネスモデルとつながっている。
 「楽天のビジネスモデルは、たとえばグーグルとかアマゾンのようなシンプルなモデルではないわけです。楽天市場というインターネットのショッピングモールを作り、出店者を募る。出店者の増加が楽天の成長につながるのはもちろんだけれど、単純に増やせばいいとは最初から考えていなかった。当初は出店者の方と秋葉原に出かけてパソコンを買い、設置する手伝いまでしたくらいです。パソコンが普及した今でも精神は変わっていない。出店していただけたら終わりではなくて、出店者がどうすれば売上を伸ばせるかを一緒になって徹底的に考える。そのためのホームページ作りのノウハウの提供に始まって、ありとあらゆるきめ細かなサービスを構築してきました。その結果として出店者の方々との間に結ばれた絆が楽天の強さ、その絆まで含めてのビジネスモデルなんです。手間がかかるのは事実だし、ほかのネットビジネスのように、爆発的に世界に広げるのは難しい。けれど、いったんその地域に根付いてしまえば、きわめて堅固です。その堅固さを土台にして、ちょっと遅れはしましたけれど、楽天は世界に進出していきます」
石川拓治=取材・文 OGATA=写真
*本記事の内容は09年6月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい
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