ゲーテ ヒューマン

  • Check
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ファンに激震!人生、最後ツアー決定|吉田拓郎 Takuro Yoshida|「年をとるということは、そんなに素敵なことじゃない」|最新アルバムのテーマは、誰も描いたことにない「60代の日常」。最高峰でフル稼働してきた男の、現在の心境に迫る。

ファンに激震!人生、最後ツアー決定|吉田拓郎 Takuro Yoshida|「年をとるということは、そんなに素敵なことじゃない」|最新アルバムのテーマは、誰も描いたことにない「60代の日常」。最高峰でフル稼働してきた男の、現在の心境に迫る。

吉田拓郎
新しいレコード会社で、堂々とした作品を意識した

新しいレコード会社で、堂々とした作品を意識した

 「正直なところ、吉田拓郎エイベックスでいいのかい、という気持ちはありました。この会社に対しての僕のイメージは、おそらく世間一般の人たちの感覚と同じです。新しくて、でかくて、CDがやたらと売れてお金を持っているけれど、得体の知れない、という。
 そして同時に、エイベックスに対して恥ずかしいものはつくれない、というプレッシャーというか、恐怖感もあった。僕のはこれまでのエイベックスのカタログとはまったく異質の音楽ですよ。しかも、僕のほうが会社よりも長く音楽をやっている。だから、吉田拓郎として堂々としたアルバムをつくって、ほら、オレ、エイベックスでもいいだろ、とね。示さないといけない。契約どおりにアルバムを出しておけばいい、と安易には考えられないわけです。昔、フォーライフレコードを設立したときに感じたプレッシャーに近い」
 しかし、逡巡はエイベックスの社長と対面したことで解消する。
 拓郎より20歳近く年下の松浦社長は言った。
 「エイベックスでは若い人のアルバムをたくさんつくってヒットさせてきたけれど、これからやめようという人の音楽は初めてです」
 この言葉に好感が持てた。
 「面白いことを言う男だと思いましたよ。最初に給料制で在籍したエレックレコードを思い出した。物置小屋からスタートして、当時は喫茶店の2階。英会話の教材レコードの通信販売が発展した会社です。あのころの自分と松浦社長が重なって見えた。今この社長がやっていることは、昔僕たちが目指していた方向じゃないか、と。エレックでスタートした音楽人生がエイベックスで終わる。歴史のあるレコード会社ではなくてね。それが吉田拓郎には似合っていると思えた」
 こうしてアルバムは完成した。6月からは全国9か所のコンサートツアー「Have A Nice Day LIVE2009」がスタートする。
 「全国ツアーはこれが本当に最後です。僕は一度体調不良を理由にツアーを中止にしていて、それによってスタッフがどれほど苦しい思いをするかを目の当たりにしていますからね。大勢の人の生活を背負いこんでツアーを回るのは、これでやめようと判断しました。
 では最後に何を歌おうか。今、毎日僕はセットリストを考えています。午前中に(笑)。6時から9時くらいにまでね。最後ですから、“サービス精神の権化”としての吉田拓郎をお見せしなくてはいけない。最後に客を怒らせちゃいけないからね。皆さんを納得させますよ。これでもうやらないよ、というコンサートツアーですから」
Takuro Yoshida
1946年、鹿児島県出身。10代を広島で送る。’70年「イメージの歌/マークII」でデビュー。「今日までそして明日から」「落陽」「外は白い雪の夜」「全部だきしめて」など名曲・ヒット曲多数。「襟裳岬」「やさしい悪魔」「我が良き友よ」など他の歌手に書いた名曲・ヒット曲も多数。コンサートツアー、オールナイトコンサート、レコード会社経営などを初めて行い、日本の音楽シーンを常に牽引し続けてきた。
田村 仁=写真 神舘和典=取材・文
*本記事の内容は09年4月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい
ラインナップ