高級食材上海ガニを丸ごと1杯使った「上海ガニと豆腐の土鍋煮」があれば、一方、シンプルな家庭料理「完熟トマトと卵の炒めもの」もある。一見対極だが、その完成度の高さゆえ同じコースのなかにあって違和感がない。今年の中国料理大賞に輝いた『マサズキッチン』は、素材の旨みを直球で味わえると同時に、緩急織り交ぜメリハリの利いた料理が味わえる稀有な店。今、最も勢いがあるチャイニーズだ。
「料理はバランスです。アワビやフカヒレなど“美味しいもの”だけを並べてもいけません。息を抜くための皿も入れていく。こうすることでコースのそれぞれの料理が引き立つんです」と、オーナーシェフの鯰江真仁さん。
この言葉どおり、「コースのすべてが美味しい。いつ行っても裏切られることがない」(見城)、「ひと皿ひと皿のバランスが絶妙」(鈴木氏)と、全料理に気を抜かず考え抜いた組み立てを、多くの審査員たちが絶賛した。
料理はいずれも素材を前面に出した品ばかり。どの料理も「何を」「どうやって」食べたか強く記憶に残る。
例えば、「上海ガニと豆腐の土鍋煮」。身はもちろんのこと内子や外子、ミソまで上海ガニを丸ごと使った逸品。香りも味わいも、上海ガニの素材が持つ旨みを最大限に引き出している。むっちりとキメが細かいタラバガニの脚をカリッと揚げた「タラバガニと食べる唐辛子」も、ひと口口にするとあとはむしゃぶりつきたくなる味わいであり、プレゼンテーションは斬新。
「素材を大切に、そして常に、新しい食べ方を発信していきたい。ヌーベルだけでは“新しい”とはいいません。王道でありながらも新鮮さを出していきたいですね」(鯰江さん)
これまで中国料理といえば、昔ながらのクラシカルな店、もしくは中国料理の原形をとどめないヌーベルに二極化されてきた。だが、「日本人の感性で作る繊細なチャイニーズ」(藤田氏)、「独創的な中国料理でなぜかクセになる」(遠藤氏)と審査員たちが口を揃えるように、鯰江さんは新しい中国料理を生み出しつつある。
まさに注目度満点の大賞。ゲーテが堂々と薦める店だ。
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第一線のトップビジネスマンの方々にご支持いただけたこと、大変に光栄です。これまでいろいろな賞を頂戴しましたが、何よりも嬉しいです。