45歳で社長に就任した日本ヒューレット・パッカード、企業再生に取り組んだダイエー、そして現在の日本マイクロソフト。これまで樋口さんは、業種の異なる企業の経営を担ってきた。そうした輝かしい経歴の中で身につけたのが、経営者としてなすべき服装術だ。
「ビジネス上の服装についてはそれまで無頓着でしたが、社長になってからはより気にするようになりました。HPではまだ若かったのですが、取引額も大きなものが多かったので、落ち着いて見えることを一番心がけていました。ダイエーでは自社ブランドのスーツを着用し、衣料品も扱っていたためポケットチーフなどを初めて使い、お洒落にも気を配っていましたね」
業務内容はもちろん、自分が置かれている立場まで考慮し、その都度の的確なスタイルを選ぶ。それは複数の企業の舵取りを経験してきた樋口さんだからこそ身についた服装術だろう。
「現在はコンシューマーから取引先、銀行までさまざまな方とお会いしますが、そのたびにタイなどを変えることはあります。いずれにしても、ファッションセンスをよく見せるというより、人から信頼感を得られることを優先するようにしています」
そんな樋口さんが選んだのがエルメネジルド ゼニアのスーツだ。クラシックで控えめであり、着用者やブランドの主張が表に出ることはない。だが、世界屈指の素材のクオリティによって、洗練されたエレガンスがさり気なくにじみでる。それはソフトウェアという“素材”を提供する、マイクロソフトの企業姿勢にも通じる、上質なビジネススーツといえるだろう。
「私がきちんと見られないと、会社全体に迷惑がかかることもあります。だから、チープに見えるものは着ないようにしています。品質が高いものはデリケートですが、ゼニアのスーツは耐久性といった実用面も備えているのがいい。欧米に比べて、日本では人間関係がビジネスの基軸にあると感じています。そういった意味でも、日本のほうがビジネス上の服装が重視されるといえるかもしれません」
1957年生まれ。大阪大学卒業後にエンジニアとして松下電器産業に入社。その後一念発起してハーバード大学経営学院に入学。卒業後はボストンコンサルティングやアップル社で経験を積み、2003年日本ヒューレット・パッカード社長、'05年ダイエー社長を歴任。'08年に日本マイクロソフト社長に就任した。

樋口さんが愛用しているエルメネジルド ゼニアのネイビースーツは、ゼニアの独自素材「トラベラー」を使用したもの。シワになりにくく、復元性にも優れたビジネスマン必携の1着だ。
あくまでクラシックで控えめながら、上質な素材と美しい仕立てから威厳と品格がにじみ出る。樋口さんのそんなスーツ選びに最適なのが、イタリアのクラシコブランドだ。例えばブリオーニの新作スーツは、上品な艶としなやかさを湛えた最高品質のスーパー150'sウールを用い、今シーズンのテーマとする「キューバ」の夜を思わせるミッドナイトアスファルトカラーに染め上げている。ジャケット1着につき220もの工程を費やし、仕立てはすべて熟練職人によるハンドメイド。見るからに極上の気品が漂う1着といえる。手前のスーツ¥514,500(ブリオーニ/ブリオーニ ジャパン TEL:03-3234-0022)