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さだまさし マジックの常連とお祝いの酒

酒の渚 さだまさし
『ぷれいやぁず』(2) お祝いの酒

この日、僕の連れて行った仲間相手に披露しようとしていたのはまさにそのマジックで、初めマスターのウィンクの理由が一瞬理解出来なかった。

だが、マジックが始まり全員の視線がカウンターのカードに釘付けになった時、カウンターの中にいた若い弟子が外に出てきてそっと僕の手の中に一枚のカードを滑りこませた。 

それで全てが解った。

僕は今マジックに夢中になっている仲間の、ズボンの後ろのポケットにこのカードを忍ばせればよいのだ。

そうして何度も同じカードを引かされた仲間のカードがどこを探しても見つからなくなる、という筋書きで、やがてマスターが、

「余程あのカードはあなたがお好きなようですねえ。あ? あなたのどこかにへばりついていませんか?」

仲間が慌てて体中のポケットを探ると、ズボンから"僕が忍びこませた"カードが出てきて店中が大騒ぎになる。

つまり僕は常連と認められ、マジックの片棒を担ぐ立場として認められたわけで、これほど嬉しいことはなかった。

ある晩ふとマスターとお酒の話になる。

「今のお好みは?」

「ワイルドターキーですね」

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Illustration=粟津泰成(YASUNARI AWAZU)

*本記事の内容は17年7月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)