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今、できることに挑戦する終活に共感

滝藤賢一の映画独り語り座 Vol.31 

スカイダイビングをした人生のほうが、
きっといいに決まってる!

『ギフト 僕がきみに残せるもの』

(C)2016 Dear Rivers, LLC

  • 『ギフト 僕がきみに残せるもの』
    2016年/アメリカ
    監督:クレイ・トゥイール
    出演:スティーヴ・グリーソンほか
    配給:トランスフォーマー
    8月19日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

本連載初のドキュメンタリー映画の紹介です。普段、僕は俳優の演技に興味を惹かれて映画を見ますが、やはり真実に勝るものはありません。『ギフト』はひとりの男を通して父親、息子、夫といろいろな立場から共感できました。

主役はNFLのスター選手だった、スティーヴ・グリーソン。引退したあと、34歳の時、身体が動かなくなっていく病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の診断を受けます。"アイスバケツチャレンジ"が以前話題になりましたが、その発起人なんです。病気の発覚と妻の妊娠が重なり、まだ見ぬ息子に向けビデオレターを撮り始めるのですが、その映像が劇中、使われています。

すごく自然体で、汚いところも弱いところも見せる。僕が身に染みたのが、子育てと看病で奥さんがクタクタになっているのに、スティーヴが「最近の君は僕に対しておざなりだ」と訴えるところ。わかるよー。言っちゃダメだとわかっているのに、つい甘えてしまうんですよね。健康な僕でさえ、奥さんに同じようなことを言ってしまっていますから。反省しております。

本作ではやはり、「終活」について考えさせられました。この先の人生をどう生きるか。スティーヴの場合、妻の明るい性格もあって、その都度「今、できること」を探し、チャレンジしていく。アラスカに行ったり、スカイダイビングをしたり。忙しさにかまけて、何も行動を起こさない自分の人生が勿体なく感じました。スカイダイビングをしたことのある人生とない人生では、きっとしたことのある人生のほうがいいはずですから。

病気は確実に進んでいきますが、スティーヴは、ALS患者の発言者として患者支援の第一人者となります。一方、奥さんは、この仕事を優先してビデオレターがおざなりになっているとプンプン怒る。この夫婦のバランスがすごくいい。

映画を見ていて、やはり男はタフでなければ、と思いました。タイプは違えど僕の周りにもいっぱいいます、年を重ねるたびにタフになっていく先輩方が。滝藤もかくありたいと、決意を新たにしたしだいです。

  • Kenichi Takitoh
    1976年愛知県生まれ。ドラマ『黒革の手帖』(テレビ朝日系列)に出演中。8月26日より秀吉役で出演する映画『関ヶ原』(監督:原田眞人)が公開。

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Composition=金原由佳

*本記事の内容は17年7月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)