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前田健太 人生も野球も、余裕が必要

毎年、コンスタントに戦績を残す秘訣
2割のゆとりが勝利をグッと引き寄せる。

「ゆとり」と聞くと、マイナスのイメージばかりが思い浮かんでしまう。しかし、そこにこそ、前田健太のしなやかな強さがあった。

『ゆとりの美学。』
広島東洋カープ所属時は、9年間で97勝。16年に移籍したロサンジェルス・ドジャースでは、16勝を挙げるなど、壮絶なプレッシャーのなか、コンスタントに結果を出し続ける前田健太投手。勝利を引き寄せる気持ちの整え方を紹介している。

きちんと笑顔で、大きな声で「やってみます!」と返事をする。

先輩やコーチなどから指示やアドバイスをもらうと、前田健太は必ず明るく振る舞った。

でも実際は、やらないことのほうが多かったのかもしれないと、前田は本心を語る。

「よく『こう投げてみろ』とか指導されましたけど、『絶対にそれじゃ無理だ』と思いながら聞いていましたね。でも、皆さんも僕によくなってもらいたくて言ってくれていることだから、その場で『できません』とたてついて、相手の気分を害してもいけないし。もちろん、自分で『合いそうだな』と感じれば試したこともありますよ」

高校時代から、自分でそう考えて行動してきた。当時のPL学園は、過酷な練習に規律の厳しい寮生活で有名な名門校。そんな環境でも、前田は無駄な行為を避けた。端的に表現すれば、前田は要領よくサボっていた。

練習でのランニングでは最初は手を抜き、最後に全力を出してトップでゴールする。冬場の体力強化で、監督に「頭から湯気が出たら終了」と言われれば、こっそり部室でお湯を沸かし頭にかけたこともあった。寮生活でも、決められた役割以外の時間は、できるだけ先輩との接触を避け、他の人が怒られているのを反面教師とした。

すべてを受け入れていたら潰れてしまう。それが前田の考え。

「毎日100%で生活したら絶対に心と身体が持たないんで。大事な時に失敗する人って、たくさんいるじゃないですか。僕らにとってそれは試合ですよね。前日まで100%でやって周りの評価を上げても、大事な時に失敗したら意味がない。だから、20%くらいのゆとりを持って、必要なものは後から足していけばいいかなって思いますね」

自分の信念が正しいことを、前田は結果で証明した。1年夏に早くも甲子園デビューを果たし「桑田二世」と呼ばれた。3年のセンバツではエースとしてチームをベスト4まで導き、広島東洋カープからドラフト1巡目で指名された。

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Text=田口元義

*本記事の内容は17年5月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)

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