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がんになって考えたこと。坂本龍一

がんになって考えたこと。
坂本龍一の養生訓

「これからは、やりたい仕事、
やるべき仕事を厳しく選ぶと思う」

「誰の真似もしないことはもちろん、自分の真似もしない。つまり、経験というか、これまで学習して得たことにも頼らずに音楽をつくりたかった。病気前のアイデアも音のスケッチも一度全部捨てて、真っ白いキャンバスに画を描くつもりで音を紡(つむ)いでいきました」

スタートして4カ月間、作業ははかどらなかった。

「試行錯誤の日々です。できるかできないか、誰にもわからない。でも、そんな作業がとても楽しくてね。贅沢な時間でした。やがて、5カ月目に入ったころこの方向でやろうと決めました」

病気前と病後、音楽との向き合い方に変化はあったのか──。

「病気で僕の音楽そのものが変わったかどうかはわかりません。ただ、間違いなく自分に対して厳しくなりました。一音一音への思いが強まり、音にOKを出すハードルは高くなった。年齢を重ねるにしたがい、人は時間の大切さが身に沁みますよね。その思いがより強くなった。与えられた限りある時間でつくる作品は、自分にできる最高のものにしたいじゃないですか」

アルバム『async』の音には、その思いが反映されている。

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Text=神舘和典 Photograph=角田みどり Hair & Make-up=YOBOON

*本記事の内容は17年4月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)