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日本の俳優が伸び伸び スコセッシ映画

滝藤賢一の映画独り語り座 Vol.25

ショッキングにして茫然。
観終わって、まさに沈黙。

『沈黙 ─サイレンス─』

(C)2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved.

  • 『沈黙 ─サイレンス─』
    2016年/アメリカ
    監督:マーティン・スコセッシ
    出演:アンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、窪塚洋介 ほか
    配給:KADOKAWA
    全国公開中

私、滝藤は青春時代、マーティン・スコセッシ監督の『タクシードライバー』『ミーン・ストリート』『レイジング・ブル』『ケープ・フィアー』などを観て過ごしました。そして、スコセッシ作品に出演しているロバート・デ・ニーロにガッツリ影響を受けたからこそ、この世界に入ったといっても過言ではありません。俳優の道を志してからずっと、スコセッシ作品に出るのが夢でした。そのスコセッシ監督が日本を舞台に映画を撮った? チクショー! いつオーディションしていたんだ!

さて、今回の『沈黙 ─サイレンス─』ですが、舞台は17世紀のキリスト教禁令下の江戸初期。まるで、それが自分の生まれてきた使命かのように、わざわざ苦難を背負いに来るポルトガルの宣教師たち。どんなにむごい罰を受けようとも、死してなお、信仰を捨てない隠れキリシタンたち。なぜ、こんなにも頑なに受難の道を選ぶのか......。僕にはいくら考えても理解するのが困難で、観終わってしばらく沈黙......。本来ならば映画の主題である「宗教とは?」「信仰とは?」「神とは?」と崇高なことを考えるべきかもしれないのですが......。またまた沈黙......。

拷問シーンもあり目を背けたくなる場面も多いですが、そのなかでもやはり日本人キャストが皆素晴らしい! 窪塚洋介さんやイッセー尾形さんの芝居が、実に愉快です。悲惨なシーンのはずなのに、しっかりおふたりのユーモアが盛り込まれている。

一方で塚本晋也さんや浅野忠信さんがすぐさま悲惨な現状に引き戻してくるから凄まじい。特に塚本さんのシーンは痛々しく、見ていて本当に苦しかったです。この作品の為に相当身体を絞ったのでしょう。まるで棒切れのようでした......。

この『沈黙』もそうですが、日本の俳優が海外の作品に出た時、伸び伸びと演じている印象を受けることが多いです。なぜだろう。うらやましい......。自分の信じる道を突き進み、人生を全うした隠れキリシタンのように、「日々精進、生涯修行」。私もいつかあのステージに立てるよう努めたく存じます。

  • Kenichi Takitoh
    俳優。1976年愛知県生まれ。ドラマ『大貧乏』(フジテレビ系)に出演中。公開待機作に映画『関ヶ原』『榎田貿易堂』など多数。

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Composition=金原由佳

*本記事の内容は17年1月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)

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