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インターネットの次に来る世界とは?

「〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則」 ケヴィン・ケリー

すべての名詞を動詞化する
テクノロジーの進化と諸行無常の世界

『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』
ケヴィン・ケリー 著 服部 桂 訳
NHK出版 ¥2,000

私のように次に流行るものを知りたいという気持ちで読み始めると戸惑うかもしれない。そういう本ではない。

この本の英語タイトル、つまり原題は「THE INEVITABLE」。避けられないもの、という意味。私たちはここ20年の間、猛スピードで進化してきたインターネットというものの端っこになんとかしがみつき、概(おおむ)ね利用できていると思い込もうとしてきたわけだが、そんな個人の小さな自意識とはまったく次元の違うところで、「それ」はすでに始まっているという。「それ」を避けることは不可能なのだ。

「それ」とは何か? 具体例を語るのであれば、当面はAI、VRやIoTの台頭ということになるわけだが、本書によるとそんなあれこれは初歩的で表層的なことに過ぎない。「それ」とは、すべての事象が次の状態へと移り変わっていくプロセスでしかない世界なのである。

わかりますか? 読了した私もまだよくわかっていません。

でもたぶん、このわからないということこそ正解に近いものなのだ。すべてがプロセスだとしたら固定された結論というものは存在し得ない。「それ」は何かひとつの形を持つのではなく、流れ、そのものなのだから。

本書ではすべてがプロセス化していく世界を各章のタイトルに〈ING〉をつけることで表現している。ビカミング、アクセシング、シェアリング、クエスチョニングなど12の〈ING〉で、今まで名詞(固有のもの)として捉えてきたものが、動詞(流動するもの)としてしか、しかもその現在進行形としてしか機能しなくなる未来を予想しているのだ。

すごく簡単に言うと、インターネットの次に来るのは、常に変わり続ける世界。その世界では私すら固定された私ではない。「それ」はたぶん、諸行無常とか、いっさいが空とか、そういう世界に近い。

  • 日野 淳
    1976年宮城県出身。ブックライター・書評家。出版社に15年勤務し、文芸編集長などを経て、フリーランスに。

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Illustration=macchiro

*本記事の内容は16年9月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)

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