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北島康介に引退後の人生を聞く

北島康介 次の勝負のために
五輪スイマーの胸中に去来するもの

「こだわり出すとキリがないなあ。湿度とか塩素の濃度とか、タオルとか全部気になる(笑)。パドルやビート板みたいな練習用のアクセサリーを置くのは面白いかも。単に泳ぐよりも効果的にトレーニングができますからね。あとは国内なら外国人向けに檜(ひのき)のプールとかつくっても面白いんじゃないかな。単にお洒落なプールというだけでなく、いろいろなお客さんに向けたプールがあってもいいと思います」

リラックスした表情で語る彼を見ていて、ホッとしたような、寂しいような気持ちになった。この夏、リオデジャネイロオリンピックのプールに彼はいない。北島は、17歳でシドニー五輪に初出場。以後4大会連続で五輪に出場し、4つの金メダルを獲得した。自ら「オリンピックスイマー」と名乗る北島は、言うまでもなく水泳界のレジェンドであり、圧倒的な実績と数々の名言は、未来永劫語り継がれることだろう。

「リオに行くつもりで練習をしてきましたし、行けると思っていました。でも記録も順位も及ばなかったことで、諦めがつきました。今はやりきったというスッキリした気分です」

無敵だった頃の彼もカッコよかった。だが北京五輪後の8年間、なかなか結果が出ないなかで、あがき、苦しみ続けた彼は、とても人間くさく、魅力的だった。肉体的には、とっくにピークを過ぎているはずなのに、結果を求めて戦い続けた理由は、ただひとつ「泳ぐことが好きだから」というものだった。

「この8年間のほうがたくさんのことを学べたと思います。水泳と向き合い直すために海外留学して友人も増えたし、何より家族ができた。仲間と会社を設立し、スイミングスクールなどの事業を立ち上げた。後輩に見られているという意識、責任感も芽生えました。結果は出ませんでしたが、泳ぎ続けてきてよかったと思っています」

今後の人生についてたずねると、困ったような顔を見せた。

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Text=川上康介 Photograph=渞 忠之 Styling=櫻井賢之 Hair & Make-up=NOBU

*本記事の内容は16年5月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)

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